わが生に未だ彼方ありと信ずるに何か余分でなにかが足らず
【2009/11/22 20:17 】
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本年度〈英連邦作家賞〉受賞作家のクリストス・ツィオルカス(Christos Tsiolkas)氏をお招きし、豪日交流基金助成/オーストラリア学会主催の特別公開講演会を開催いたします(9月に予定していたのが延期になった会です)。

どなたでもご参加いただけますので、オーストラリアのみならず、英語文学の最先端、多文化主義、マイノリティからの視点などに興味をおもちの方はぜひご来場ください。




《2009年度第四回 同志社大学 特別公開講演会
    クリストス・ツィオルカス講演会       》

日時: 12月5日(土曜日) 13:00~16:00
場所: 同志社大学今出川校地 寒梅館大会議室(6階)
講演テーマ:オーストラリアン・サバービア―
    グローバリゼイションのなかの多様性と均質性
    (通訳つき)
司会:湊圭史(立命館大学講師)
コメンテーター:Dr David Gilbey (Charles Sturt University, NSW)
        佐藤渉(立命館大学准教授)
参加費:無料(どなたでもご参会いただけます)


(アクセスマップ)
 http://www.doshisha.ac.jp/access/ima_access.html
 京都市地下鉄今出川駅下車②番出口より徒歩1分



詳細は、
Christos Tsiolkas氏講演会プログラム(pdf)
をご覧ください。
【2009/11/11 12:48 】
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先週土曜日は、詩歌イベント・ダブルヘッダー。

まずは川柳ふらすこてん句会。
課題吟でうんうん唸っていたら、大将・祥文さんから「選者、よろしく」と。
えーっ、というわけでそういう怖いところですー、ふらすこてん。
でお題「賑やか」の数十句を前にうんうんまた唸るはめに。
(いや、ゼイタクな経験をさせていただいているのだと思いますが・・・。)
川柳句会ではお題ひとつにつき各人が2~3句を出して、
そこから好句を抜いて、前で読み上げるというのが基本スタイル。
選句をしていると何だか気合いのこもった筆致が多くて
句が迫ってまいります。それを一応の根拠も考えつつそれでも
結局最後は「好み」をもってばっさばっさと切っていきます。
でも結構不安で落とした句も何度か読み返したりして。

最初のお題は席題(その場で出るお題)「特別」。
こちら、みなとの句は没。ちょっとひねりすぎたかなー。幸さき悪し。
つづいて「賑やか」。川柳および人生の大先輩(?)方の前に立って、
だいたい20~30句は読むことになるので、なかなかに緊張。
今回は参加者が少なめだったこともあって、うわー、やたらに声が
通るわーという印象。ちょっと早口になったかなと思いつつ、
修正できず。いや、あまり噛まんかったよしとしよう。
残りのお題「肴」「運ぶ」ではなかなかのヒット率。
ちなみにこんな句・・・

お題:肴
 ヒマなので小鉢に入っているところ

お題:運ぶ
 動物のたましいをスプーンで運ぶ


自分の句が読みあげられると呼名、といって、
自分の下の名前を言うんですがこれがちょっと照れる。
他の方の作品を聞いているとやっぱりウマいわー、
俺のはあきませんわー、えらんでもろてすんませんー、
となってくるので、なおさら。

で、最後はふらすこてん句会名物、三人選。
三人の選者がそれぞれ5句を選んで、選んだ理由を語り議論する。
川柳の句会は通常上のように読み上げっぱなし、なので、
ふらすこてんでは「読み」の意識を高めるために
この三人選を導入しているそうで。今回の題は「利息」。
(前々回が「C]、前回が「十」ですので、「利息」ってのは
一般的な川柳のイメージに沿った題に見えますね。
でも逆に遊びが効きにくくて難しかったです・・・。)
選者は、石田柊馬さん、田中博造さん、筒井祥文さんと重鎮御三方。
当たり前なのかも知れないけど、すごい読み手ばかりですー。
句は全体的には大人し目だったみたいですが、そのおかげで
各句のていねいな読みを聞くことができて勉強になりました。



で、ひきつづき?、りりQ合評会。こちらは自由詩の会です。
ひさしぶりの参加者もあり、なかなかの出席率。

関根悠介詩集『ぶひゃひゃひゃひゃ』(草原詩社)の小研究会を挟んで
各人もちよった詩を検討。
(『ぶひゃひゃひゃひゃ』は実験的な面白い詩集。アマゾンを見たら
 売り切れみたいだし、購入希望のかたは言語実験工房
 宛てにでもご連絡ください。)

会後、いつもの二次会会場に行こうとしたら連絡がつかず。
あらまー、ということで、「そのへん」の居酒屋へ。
詩の合評会についての新しいアイデアなんかについて話しました。
いつもよりは早い、でも十二時手前の帰宅でありました~。
【2009/11/09 01:12 】
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ずぶずぶと箪笥の奥で音がして


ペットボトルに透ける日の丸


五六日メモリースティックを舐める


寸止めのまま昨日となった夕陽


遠足のおやつに消火栓は入ります


電子辞書にも江戸のにぎわい


ベビーベッドが賑やかな倦怠期
【2009/11/06 19:37 】
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川柳誌『バックストローク』第28号が届きました。


「アクアノーツ」から

核廃絶ウィキャン・ユーキャン犬もキャン  渡辺隆夫

木片のひとつが瑠璃の鳥になる       くんじろう

剥がされた坂道やがて百日紅        江口ちかる

手拍子はリバーシブルになっている     横澤あや子

肩に乗る象に乗る象に乗る英霊       きゅういち

魔が差したとしか言えませんモロヘイヤ   丸山進

めんどりの声になるまで責められる     浪越靖政

妻は子を父の帽子で遊ばせる        前田一石

光より速く蛍が迫ってくる         松本仁

狙撃兵には縦笛を横に吹く         筒井祥文

切腹の利休を隠す玉のれん         北沢瞳

気象予報士と親しくて暮らす        金築雨学

セロ弾き歎異 虫魚の行列臭いだす     吉澤久良

小専務の耳たぶほどの硬さまで       兵頭全郎

汗だくになる抽象画になる         柴田夕起子

四の五のと言わず西瓜が割れている     一戸涼子

不自由さはいつかは馴れるおめでとう    松原典子

矢印のとおりに滝のファンクラブ      井上せい子

踏切りを飲み込んでいる脹脛        高橋蘭

兄弟の話亡母をまんなかに         田中峰代

奈落からまさかまさかが飛び出して     前田ひろえ

線香花火ポトンと落ちた日記の上      田中博造

蝶の群れ吐き出した背に淡い羽       重森恒雄

ぶどう揉む雪舟の絵ゆるむまで       石田柊馬

人以外何にもいない地下通路        草地豊子

とりあえず二階の姉をかき毟る       山田ゆみ葉

うず高く夜が積まれた行き止まり      松永千秋

樹下にある剃り立ての両手足        清水かおり

その歩哨星の尻尾に撫でられる       小池正博

殻を出る七日、十日を哭くために      広瀬ちえみ

ちょうどいいところで髪をとめられる    樋口由紀子

ゆびさきをそっとにぎれば雨になる     畑美樹

水母でも油揚げでもない死人        石部明



「ウィンドノーツ」から

朝焼けを背にずり上がる裁判所       山田ゆみ葉

袋から手が出てピアノ弾きはじめる     松本仁

不倫たつ古代の丘にプリンたつ       きゅういち

壁面で天使助走をはじめおり        江口ちかる

蛍烏賊からむ偶然ユーラシア        環

原発で作った電気腰がある         丸山進

血栓(つべこべ)×2 どぶろく特区    亜流斗

縫いかけの顔 意識から取り外す      やまもとじろう

シオマネキ一行様は牡丹の間        森茂俊

ゆる褌から日本列島みえるみえる      渡辺隆夫

教会の通りで二時が五時になる       筒井祥文

琵琶弾けば藁の連隊起き上がる       吉澤久良

業界用語辞典の封をする道具        兵頭全郎



今回いいなあと思ったのは、
くんじろうさん、松本仁さん、山田ゆみ葉さん、環さん。

一句として気になったのは、


ちょうどいいところで髪をとめられる    樋口由紀子


「ちょうどいい」という認識と、「とめられる」という軽い被害意識。
些細な違和感をしっかり簡略に書き留めていて、
句に立ち止まっているうちに段々とその違和感が深度を増していく……。


袋から手が出てピアノ弾きはじめる     松本仁


は文句なくカッコいい詩。比喩として読解するのが勿体ないと思わせるような……。
【2009/11/02 17:48 】
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本日は昼過ぎから、京都百万遍・知恩寺で開催中の古書まつりへ。
京都の古書フリークにとっては、秋の恒例行事です。
春は勧業館、夏は下鴨神社、秋は知恩寺!

出るとき雨が降ってたのでどうしようかなと思ったのですが、
さほどではなかったので雨の古書まつりもよかろう、と出発。
ですが、大雨になりましたね(笑)。帰りごろには端っこのお店は
ほとんど水没してました。明後日(3日)までやってるらしいですが、
明日行かれる方も足元にはお気をつけて。

で、

塚本邦雄『残花遺珠―知られざる名作』邑書林
村野四郎『体操詩集』詩歌文学館

を購入。『体操詩集』は1939年版の復刻版。日本モダニズムの代表詩集。
詩の完成度には今見ても高いものがあると思います。文庫・新書コーナーは
軒並み雨除けビニールが掛かってたので、2冊のみの収穫。

近くの喫茶店「進々堂」へ。注文しようとしたメニューは売り切れ。
(ここに行った時はいつもそうな気が…)で、カレーセットに。
カレーはちょっと甘め。美味しかったですが。
塚本『残花遺珠』を読む。注目されざる現代秀歌をとりあげる
という趣旨の本。第一章は塚本の若き日の盟友・杉原一司。
二人の間に交わされた書簡、杉原の細君・令子さんの歌(良いです!)
なども引かれた、いつも以上に力のこもった文章。

影響されて(単純!)、ケータイに短歌を数首書く。


 両極は引き合うべしと思ふかなゆるく琥珀を吸ふ四面体

 望みたるメニューの二つ売り切れて掬ふカレーは甘く気疎し

 此の国に知識人なし天板のあつきテーブルに落とす空杯

 曇りたる硝子の時計ちらと見て出ずゆくりなく地を濡らす雨

 透明のビニール傘を差し上げてすれ違うとき伏目がちなる


帰り、百万遍から今出川通りを歩いていると、思文閣でも古書販売が。
文庫・新書激安。ここでは、

呉茂一訳『ギリシア抒情詩選』岩波文庫
鈴木信太郎訳『ヴィヨン全詩集』岩波文庫
馮夢竜編、松枝茂夫訳『全訳 笑府(上)』岩波文庫
アリストパネース、高津春繁『雲』 岩波文庫
目加田誠『屈原』岩波新書

を購入。全部で150円(!)。にしても岩波、古典ばかり。

 われ くちづけば
 吾妹の唇も
 ほころべる、
 麥酒なくて
 われはたのしき。

 # 「唇」に「くち」、「麥酒」に「さけ」とルビ。
(『ギリシア抒情詩選』所収、エジプトの詩より)

『全訳 笑府(上)』は明朝末期収集の中国笑話集。
スケベな話もたくさんで面白そうです。



昨日は大阪・中津にて、落人の会。
現代俳句協会新人賞落選作をもちよって、批評し合う会。
みなとは出してませんでしたが、やじ馬で参加。
4人のそれぞれ30句をテーマに議論。
内容については、他の方がまとめるようですので割愛しますが、
句会どまりの相互批評から脱却して、作家論も含めた
議論の少なくとも端緒まで行けたようで、勉強になりました。
詩の合評会でも、各人一篇ずつ出しての議論には最近
限界を感じることもあるので、参考にしたいと思います。

会場になった中津駅すぐの「ピエロハーバー」は
なかなか個性的なお店でした。高架下の倉庫スペースのように
天上が高く、めちゃくちゃ広いスペースにテーブルが
散在していて、いただいたチラシには
パーティー&コンパ「少人数~200名様までOK!」
とあります。200人! 実際に上の議論中に
店内に区切りができて、ハロウィン仮装パーティーが
始まりました。ただし、カフェ・スペースは
変わらず営業中(笑)。ランチ500円、
お酒、一品メニューも安いです。
イベントにいろいろ使えそうなスペースでありました。
【2009/11/01 18:33 】
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検察やひも理論からうどんすき


巨象破綻してそこらじゅう穴ぼこ


ヘルメスがスルメへ続く通学路


すっぴんの投票箱に入れる蝉


オクターブ奏法の果ては環状線


どれもこれも抹茶味と捨てぜりふ


アトムの中心にいない表現の犬
【2009/10/22 23:32 】
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丸山進さんの川柳句集『アルバトロス』(風媒社、2005)を読みました。
青と白の装丁がうつくしい本。

前半は、正確な観察をするどく単純化した表現へと定着した句が並んでいます。
一句一句の面白さがくっきりとしていて、ほとんど解説を要しない。
描かれる対象はサラリーマンの世界ですが、ジャンルとしての
サラリーマン川柳が勤め人の哀感にもたれかかっているのに対して、
丸山さんの句では事象の切り取りや抽象化が高度で、
視点がそうした慣れ合い感情からくっきりと自立しています。



耐えているベルトの穴は楕円形


結論のところでかすれるボールペン


生き方を探求すればひもになる


鍵穴を覗けば人の目が見える


マニュアルを読むと仕事が遅くなる




この辺りだと切り取りがするどすぎて、客観的過ぎるという読者もいるかも。
もちろん、悲喜劇的共感に訴えかけてくる句もたくさん。



新聞を覗かれていてめくれない


あと少しロープが足りず苦笑い


電話では説明出来ぬ犬の顔


父帰る多肉植物ぶら下げて


ほんとうに来ちゃったのかよどうしよう




後半に入ると、句調の転換あり。句作の時系列順なので、
丸山さんの句境の変化でもあると見てもいいのだと思いますが、
抽象化しつつも現実を離れることがなかった前半の句とは異なって、
フィクショナルな次元が導入されてきます。



酒飲むとけものの匂いする手足


万歳をすると頭が空になる


街灯の一つを先ずはそそのかす


私も金魚も色が褪せてきた


ネクタイを全部繋いで月に行く




人によっては難解になったととるかもしれませんね。
「酒を飲むこと」と「手足からけものの匂いのすること」の間には
大きくはないけれど、逆に微妙なことでとても気になる飛躍があります。
街灯をそそのかす、という行為(というか欲望)も
ふつうの意味では理解できません。が、
どの句も生活実感や日常の風景の肌ざわりに根ざしていて、
現実を一皮むいたところにある私たちの感情の基盤が
急に目の前に突きつけられた感じがします。



覚えてろと言われたので覚えてる


お湯を見てと言われてじっと見てるお湯


友達をある順番に並べてる


これがまあ進化してきた人の顔


橋桁になぜ惚れたのか分からない




「お湯を見て~」の句にある放心の感覚や、「友達を~」の句の
自動化した心理状況には、外側から自分を見つめる冷静な意識と
それでもどうにもならない感情生活への諦念があって、
単なるおかしみではない、どこか怖さも感じる句となっています。
前半の句にあった「うがち」が内面へと切り込んで、
さらに後半の句になると、こうした「うがった」内面を
自動的な受動性から浮き立たせ、切り返しを行う句が出てくる。



乾かないように葉っぱの裏にいる


真剣にトイレ探しただけの街


電子辞書で妻という字を拡大す


道々に口に出せないものを置く


寝転んでいたら誰かが拝んでる




前半・後半というかたちで書きましたが、最初期の句が1996年、
最後の句が2004年ということで、じっさいには
句作の時期は8年ほど。それを考えると、ここに見られる
変遷のスピードはかなりのものであることが分かります。
ご退職など生活環境上の変化もあったのかなと推測しますが、
言語表現としての深化にそれをつなげるのは、至難なことのはず。

と、マジメに書いてきてしまいましたが、



追い詰められてブラジャーの真似をする



なんて句も(笑)。もちろん、楽しみながら読める句集なわけです。
【2009/10/21 21:52 】
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第3回 Japan Writers Conference、2日目(18日)リポートです。

2日目は10時の最初のセッションから参加。
Bern Mulveyさんによるアメリカの詩誌に投稿する際の注意点の解説。
実際に大学機関誌の文芸誌エディターをされていたそうで、
日本からはなかなか分からないアメリカ文芸誌の内情を知ることができました。
各誌の投稿に対する掲載の割合(Poetry誌は投稿9万篇に対して掲載350篇、
Georgia Reviewは投稿1万篇に対して掲載60篇、などなど)から
始まって、査読の実際の流れ、選ばれるためにはどういう点に
注意するべきか(添付する手紙も含めて!)など、まことに実務的なお話。
傾向と対策、といったとってもドライな趣きでありました。
日本の詩誌ではだいたい有名(?)詩人が選ぶ新人コーナーが
あったりしますが、アメリカなどの文芸誌では
編集者がよいと判断したものは若手もベテランも横並びで
載せています。どっちがいいですかねー。
とりあえず、近いうちにどこかに英語の詩を出してみようかな、
とちょっと思ってきたという意味では、個人的に収穫。

11時からは昨日にひきつづき John Rippeyさんの詩のセッションに。
今度のテーマはソネット(14行詩)。Rippeyさん個人の
型式に対する興味が強まってきたという話から、
ソネットの歴史・特徴、現代のソネット作品の紹介。
その間にフロアからもいろいろ意見が出て、
現在の英語詩において、古典型式が復活してきていることが
話題になりました。紹介された現代ソネットは
かなり古典的ソネットとは違ったところもあるけれど、
フリーヴァース(自由律)一辺倒だった1960年代などから
比べて、ずいぶんな変わりようです。
日本語詩でも飯島耕一さんが提起した定型論争などありましたが・・・。
自由律自体が硬直化している状況、また詩史が
歴史的流れよりは並列的な手法として捉えられ始めたこと、
アメリカで言えばクリエイティヴ・ライティング・コース(創作科)の
隆盛など、理由はいろいろ考えられますね。
ともあれ、ソネットは捻りの効いた魅力的な形式だなあ。

お昼はPhilipと今出川通り沿いの「さしこ茶屋」へ。
茶碗蒸し定食を食べつつ、近況について情報交換。

13:00からのセッションはあまり興味のあるのがなし。
迷った後、Sally McLarenさんのセッションへ。
日本における外国人ホステスの状況について、
オーストラリアで放送された番組や、最近出版されたノンフィクション
(と称するもの)を例に、日本人のステレオタイプ化による
センセーショナリズム的ニュースがぞくぞくと
作られている現状を解説していただきました。
いわゆる「やらせ」であったり、始めから固定観念のみで
書かれた「ノンフィクション」であったり、
まあ、どこでも(日本のメディアでも)よくある話なんですが、
うーん、困ったものだな、という意外にどうしたらいいのか、
その辺りの打開策はなかなか難しいようです。
質疑応答でどうするべきかが議論になっていましたが、
聞いていた限りではまあ、解決策はなさそうです。
情報チャンネルが増えるのに合わせて、屑でも何でも
埋め合わせる材料が必要だ、というメディアの要請が変わらないと
真面目に伝える、と気張ってみても意味はなさそう。
オリエンタリズム云々、という言い方自体、
クリシェになった感がありますし。

次いで、Todd Jay Leonard さんのプリント‐オン‐デマンド出版の
利点と不利点についてのお話。ご自身の出版の経験をベースに
伝統的な商業出版、自費出版と、注文があってから印刷するタイプのPOD出版
をくらべて、それぞれの特徴を分かり易くまとめておられました。
Leonardさんのご意見では、自費出版はなくなって、
PODに移行するだろう、という話でしたし、
Janeや高野さんの作品もPOD出版されるらしいので、
アメリカではそうなのかなあと思いつつ、
日本での現状はどうなのか、聞きながら考えてみました。
5、6年前にPODがかなり話題になって、広告も出てたような気がしたけど
それ以降、さっぱり聞かなくなったような・・・。
でも、じわじわ定着してきているのかも・・・。
少部数出版の詩集にはぴったりの方式なので、うまく
普及してくれるといいんですがね。
(このセッションと同じ時間に、あの『スラム・ドッグ・ミリオネア』原作者の
Vikas Swarupさんのお話があったそうで、えええ、知らんかったわーって感じ。
映画も観てないから、まあ、関係ないんですけどー。
[Swarupさん、現在は外交官として大阪に住んでいるらしいです。])

最後のセッション、Taylor Mignonさんの詩作ワークショップ。
まずは5人組になって、伝説の(?)シュルレアリスム実験
「優雅なる死体(Le cadavre exquis)」にて合作。英語では、

The exquisite / corpse / drinks / the new / wine.

の各部分を品詞はそのままに入れ替えて書いて、
次の人に回していく。まあ、簡単に言えば、小学校の
遠足のバスの中とかでよくやった「誰が/どこで/いつ/何をしたか」
と同じ仕組みなんですが、「優雅なる死体」方式は
実際には始めてやったんで、新鮮でした。グループで5つ作った中で
うちのグループの最高作(?)は

A superb hippo transcends the intensive sex.
(上等なカバが集中的セックスを超越する。)

なんのこっちゃ。他のグループでは、

A shimmering sandwich distills a strange heart.
(きらめくサンドイッチが奇妙な心臓を蒸留する。)

なんてのもありました。なかなかにポエティック。しばらく
この実験でできた行を一行目において詩作。
つづいて、山村暮鳥「囈語」(「竊盗金魚/強盗喇叭/恐喝胡弓/賭博ねこ・・・」)
を参考に、ネガティヴなニュアンスのある一群の単語(暮鳥では犯罪名)に、
関係のない思いついた単語をくっつけていく。
今回は老いの兆候という、なんとも気のめいる題材で・・・。
なかなか難しく、関係のないと意識しながら、
どこかでつながる単語を選んでしまったりして。
この辺りは暮鳥のセンスの良さが光ってきますねえ。
というわけで、個人の意識を離れて、より面白い詩行をつくるには、
という実験ふたつでした。こうした手法はやりたくても
なかなか実践できないので、楽しく、参考になりました。

で、会はお開き。しばらくTaylorと
シュルレアリスムやモダニズムの手法が現在において
有効かについて議論。みなとはメディア状況が変わった現在での
無意識に拠った手法には懐疑的なのですが、Taylorは
まだまだ可能性がある、というので意見が分かれました。
が、手法としては有効性があるのは確かなので、
要は使いようですかね。

と、実践的なことから理論的な問題まで、いろいろ思考の種をいただきました。
気を配った運営をしてくださったJohn Gribbleさん始めスタッフの皆さま、
お疲れさま&ありがとうございました。

さて、来年はどこでやるのかな・・・。
【2009/10/20 20:08 】
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一昨日、昨日と京都の同志社女子大で開催された
第3回 Japan Writers Conference に参加してきました。
といっても去年(http://umiuma.blog.shinobi.jp/Entry/416/ 参照)
とは違って、自分の発表はなしで、のんびり。

このカンファレンスは、
SWET (The Society of Writers, Editors, Translators)
http://www.swet.jp/
という日本在住の外国人作家・編集者・翻訳者・教育者・詩人など
の会が主催で開かれています。
Conferenceを「会議」と訳すと固く聞こえますが、
真剣な議論をくつろいだ雰囲気でできるよい集まりです。

1日目(17日)はちょっと遅れて11:00から参加。
John Rippey さんによる詩の翻訳ワークショップ。
題材は萩原朔太郎の「旅上」。「ふらんすへ行きたしと思へども/
ふらんすはあまりに遠し」で始まる、あの有名な詩です。
最初にオリジナルの縦書き、横書き、漢字を増やしたヴァージョン、
ひらがなのみのヴァージョン、など、で多面的に
原語での詩を読んだあと、逐語訳を参考に
参加者それぞれが翻訳。数人がそれを読みあげて、
細部についても話し合いました。一例としては、
詩の中の「みづいろの窓」というフレーズについて。
先行のグレアム・ウィルソン訳とアーサー・ビナード訳では
”the sky-blue window”、佐藤紘昭訳では “the aquamarine window”
となっています。いろいろ意見は出ましたが、
旅のうつろい、最終行の若草のイメージにつながる
という意味で、「水」のイメージ・感触はここは
不可欠ではないか、と思いました。

お昼休みを挟んで、Morgan Gibson さんがKenneth Rexroth
について話すのを聞く。11:30からRexrothについての
ドキュメンタリー映画を上映したのを受けて、ということらしかったので、
それを見逃したのは痛かったですが、生前のRexrothを
知っている方から、1960年代からのアメリカの大学を
中心とした時代の雰囲気を聞けたのは貴重な体験でした。

次いで、Michael Pronkoさんの
日本に関するノンフィクション作品についてのお話。
プロンコさんは日本版News Weekのコラムニストで、
『僕、ニッポンの味方です』(メディアファクトリー)などの著者。
日本で暮らす日常のなかでの「気付き」(気づいたこと)を
どのように一篇のエッセイに仕上げているかを
丁寧に話していただきました。アイデアを思いついてから
2,3年かかって書けることも多いそうで、
また編集者と協力して日本人向けに調整する作業など
具体的に話も聞くことができました。
こういう「気付き」から作品へ至るのは
私たちが日本語で書くときもあまり変わらないところ
だと思うので参考になりました。

午後3時からは2つ連続して詩のセッションに参加。
始めは、Judy Halebskyさん、塚越祐佳さん、亜久津歩さんによる
ポエトリー・リーディング。三人で『エキマエ poems』という
同人誌を始められたところで、お披露目の会、かな?
『エキマエ poems』は日本語と英語の完全二言語雑誌で、
翻訳もしっかりしている。今まであまりないかたちかなと思います。
モダニズム期の女性詩人・山中富美子をとりあげていたり、
これからも楽しみです。女性オンリーですかー、と
訊ねてみたらそうでもないみたいです。もっと参加者を
増やしていく予定、とのこと。
(Judyは2009年度のNew Issues Poetry Prize 受賞者。もうすぐ
 詩集 Sky=Empty が刊行されます。)

引きつづき、Philip Rowland と Jane Joritz-Nakagawaの
お二方によるリーディング&ディスカッション。
Janeは近作として、型式を決めてから書くスタイルで
作った詩をいくつか朗読。二日目にも話題になっていたけれど、
最近の英語詩の傾向としては型式の復活ということがあって、
それを実験的に試している感じ。Janeの詩は
日常の言葉を(日本語など英語以外の言語も含めて)
とり込んでいるスタイルで、古い型式と多様なコトバの
摩擦があって面白い。対して、Philipは短詩をメインに
書いている詩人。短詩をそろえた個人詩誌
no/on: journal of the short poem
を編集、現在7号まで出しています。Philip自身の詩は
無理のないユーモアがあって、聞いていて楽しい。
短詩の朗読もいいなと思いました。
ウェブ上で調べると連絡先も分かるので、
no/on に興味がある方はPhilipに連絡してみてください。

終了後、Janeらと雑談。詩の会をつくるからあなたが代表やりなさい、
など無理難題を・・・。でも、いっしょに何かするのは楽しいんで
何か考えますかねー。

翻訳の仕事があるから、と言って、今回はパーティーには不参加。
でも、佐賀から来られた高野さんと一杯行きましょうか
ということで、木屋町の「たこ入道」へ(ここは明石焼きが名物で美味しいです)。
現在在住の佐賀の文学、ハワイ大留学時代のお話など、
いろいろ伺いながら楽しく呑みましたー。あ、翻訳の仕事は・・・。

で、二日目についてはまた明日。
【2009/10/19 18:52 】
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